文化人類学にはスポーツ人類学という領域があります!東京オリンピックの開催が危ぶまれる中、あらためて、日本のオリンピックへの参加の歴史や、近代スポーツと身体について考えてみるのもよいかもしれません。
歴博(国立歴史民俗博物館)は、2014年以来国立台湾歴史博物館(台湾・台南市)との相互交流と研究協力を継続し、2016年には、特集展示(国際展示)「台湾と日本―震災史とともにたどる近現代-」を共催しました。
国立台湾歴史博物館には、オリンピックアスリートに関する記録物が大量に所蔵されています。そのうちの、1932年のロサンゼルスオリンピック(アメリカ)、1936年のベルリンオリンピック(ドイツ)の陸上競技に「日本代表」として出場した張星賢(ちょう せいけん/日本植民地期の台湾人選手)に関係する歴史的な資料がきっかけとなり、新たに近代のスポーツに関わる共同研究を開始することとなりました。一昨年からは国立成功大学(台湾・台南市)にも共同研究に加わっていただき、日本と台湾の近代史への理解を深めてきました。
今回の特集展示(国際展示)は、その研究成果展示として、1964年の東京オリンピック関係資料をはじめ、近代の学校運動会に関連する錦絵、写真、肉筆漫画など約120点の資料を通し、身体の改変や近代オリンピックへの参加という歴史的経験を共有してきた日本と台湾における「近代化」への過程を見つめ直し、台湾や東アジアとの歴史的関係を意識しながら、スポーツの近代史を紐解くものです。また、日本での展示のあとは台湾(国立台湾歴史博物館)でも巡回予定です。
■本展のみどころ
・張星賢(ちょう せいけん)という知られざる日本植民地期の台湾人アスリートの競技人生をクローズアップしながら、激動の日本と東アジアの近代史を見つめ直す
・記念1000円硬貨や銅メダル(男子バレーボール)など1964年の東京オリンピック関係資料を展示
・リレーバトン、ハードル、体操服、運動会のプログラムなど、100年前はどのような形をしていたのか、スポーツの近代史を紐解くラジオ体操参加カードはいつからある?
・はじめて「スポーツ」に出会った人々は、どういう反応をしたのか、野球やラジオ体操の普及から読み解く
■展示構成
プロローグ
第1章 近代史のなかのスポーツ
第1章 第2節 スポーツを通じた近代文化の波
第2章 帝国日本のスポーツとオリンピック
第2章 第1節 帝国日本のスポーツ
第2章 第2節 ラジオ体操の帝国
第2章 第3節 近代オリンピックと日本
第3章 世界を駆け抜けた台湾人アスリート:張星賢
第3章 第1節 台湾から東京、そして世界へ
第3章 第2節 早稲田時代とロサンゼルスオリンピック
第3章 第3節 満鉄時代とベルリンオリンピック
第4章 スポーツの戦後
第4章 第1節 ラジオ体操の改定、野球の復活
第4章 第2節 東京・札幌オリンピックの再招致
エピローグ
■開催期間
2021年1月26日(火)~3月14日(日)
■開館時間
~2月:9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
3月~:9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
■会場
国立歴史民俗博物館 企画展示室B
■休園日
毎週月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)
■主催
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
國立臺灣歷史博物館(台湾)、國立成功大學(台湾)
特別協力 熊本県玉名市、公益財団法人野球殿堂博物館、筑波大学事業開発推進室、筑波大学附属図書館、天理大学附属天理参考館、早稲田大学大学史資料センター、立教学院展示館、孫基禎記念館(大韓民国)、真田 久(筑波大学)
■観覧料金
一般:600円 / 大学生:250円
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※高校生以下は入館料無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。(専門学校生など 高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館が無料です。
※半券の提示で当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。