海外旅行の醍醐味のひとつは異文化を体験することだという方はけっこういらっしゃるのではないでしょうか。外国だけでなく国内の移動も躊躇してしまう昨今、今年のゴールデンウィークは本書『人類学者は異文化をどう体験したか:16のフィールドから』で人類学の語りを通じて異文化を追体験してみませんか。他者の視点から見る日本の事例では、あたり前の日常に新たな気づきを得られるかもしれません。
文化を扱うプロたちの異文化体験
他者の理解を試みるために、それぞれがフィールドと呼ばれる他者の世界に身を置く文化人類学者たち。国内外から多様なフィールドを持つ文化人類学者が参加した本書『人類学者は異文化をどう体験したか:16のフィールドから』では、そうした文化人類学者たちの異文化体験を読者が追体験することができる。海外の事例は新鮮な驚きを、国外の人類学者の視点から見る「異文化」としての日本の事例では自身にとって当たり前の日常を振り返るきっかけを提供してくれる。
■編者
桑山敬己
■出版社
ミネルヴァ書房
■発売日
2021年5月1日
■定価
2,750円(本体2,500円+税)
■ISBN
9784623091621
■目次
はしがき
序 論 人類学的異文化理解とは何か?――フィールドと身体の共鳴(桑山敬己)
第Ⅰ部 日本人が見た異文化
第1章 他者像を完成させない――国際協力で揺らぐ自己の先に見えたもの(細見 俊)第2章 「当たり前」を問い直す――ネパールの農村生活を通じた「読み書き」についての一考(安念真衣子)
第3章 フィールドに「身を置く」ことと「わかる」こと――フィールドワークのこぼれ話(川瀬由高)
第4章 フィールドで「信頼する」ことと「信頼される」こと――人類学的ラポールの舞台裏(野口泰弥)
第5章 フィールドとの「つながり」、フィールドとの「断絶」――ロシアと日本の往還から見えたもの(櫻間 瑛)
第6章 知らない土地とのつながりを見つける旅――アリゾナで先住民族ヤキの人びとと過ごして(水谷裕佳)
第7章 「わたし」と「あなた」が出会う時――ドイツでの経験を日本での教職に生かす(石田健志)
第8章 アジア人がアメリカの大学で教える時――30年前の新任教員に立ちはだかった壁とその教訓(桑山敬己)
第Ⅱ部 外国人が見た日本
第9章 五感から異文化を考える――日本に暮らす一人のラトビア人の日常から(インガ・ボレイコ)
第10章 「日本」を追い求めて――文化を共有することとは(孫 嘉寧)
第11章 「無」としてのマイノリティー――不可視の内なる他者(ロスリン・アン)
第12章 国内の異文化体験――「彼ら」としての先住民と私(呉 松旆)
第13章 アイデンティティの複雑さ――カタルーニャ人とスペイン人であること(ビエル・イゼルン・ウバク)
第Ⅲ部 もう一つの日本
第14章 「無知」から「愛着」へ――北海道朝鮮初中高級学校「ウリハッキョ」でエスノグラフィーした僕(川内悠平)
第15章 身体の非対称性――ひとりのダンス教師は異なる身体とどう向き合ってきたのか?(井上淳生)
第16章 人類学は役に立つか?――手話通訳者になりそこねた学生のその後(沢尻 歩)
文化人類学をより良く知るための文献
あとがき
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