伝統文化の継承は、多くの地域や人々にとって深刻な問題となっています。かけがえのない文化遺産をどのような形で次の世代へつなげてゆくか、様々な側面から議論が繰り広げられるようです！
人類規模での居住集中と都市構造の変化、そして速度を高めたり人工環境をとり壊したりする技術は、現代世界に集合的健忘をもたらしたといわれる。
Connerton (2009),
In How Modernity Forgets? Cambridge: Cambridge University Press.
この「集合的健忘」とは「集合的記憶」に対置する言葉で、歴史的なできごとを集団で忘れてしまう現象です。この「集合的健忘」に抗うために、今回紹介する連続ウェビナーでは全5回に渡り、５つの記憶・記録媒体の観点から、これらの実践が文化伝達にいかに寄与するかを検証します。
第一回目は「記録メディア」、第二回目は「モノ」、第三回目は「デジタル技術」、第四回目は「学術活動」、第五回目は「記憶と実践」と、現代社会でも身近なテーマで構成されています。
それぞれの研究内容も、科学技術の利用から伝統衣装や音楽などの活動、教育からポリティックスまで議論は多岐に及ぶため、研究者だけでなく一般の方に幅広く興味を持ってもらえる研究会になりそうです。
■オンライン配信
2021年2月13日（土） ～2021年3月13日（土）
（計5回、詳細は各回の内容をご覧ください）
■場所
Zoomを用いたインターネット開催
■言語
英語（日本語同時通訳あり）
■料金
一般公開（参加無料／要事前申込／定員250名［先着順］）
■日程
■第1回 記録メディアの継承
日時 2021年2月13日（土）19：00～21：30（以下、すべて日本時間）
【プログラム】
ニール・キャリア（ブリストル大学、イギリス）
「視覚遺産と都市――デジタル技術とナイロビ写真アーカイブズ」
縄田浩志（秋田大学、日本）
「 片倉もとこ中東コレクションの肖像権問題と写真アーカイブズ化」
南真木人（国立民族学博物館、日本）
「博物館とソースコミュニティの協同――ネパールにおける80年代サーランギ音楽資料の共有化」
■第2回 モノの継承
日時 2021年2月20日（土）18：00～20：30
【プログラム】
アロミカ・バッタチャリャ（ペルーインド協会、インド）
「アフリカ系ペルー人による木製打楽器の音楽遺産化」
吉田ゆか子（東京外国語大学、日本）
「バリの芸能の継承における仮面と衣装」
佐藤若菜（新潟国際情報大学、日本）
「ミャオ女性における刺繍技術の伝承――中国貴州省の事例から」
■第3回 デジタル技術をとおした継承
日時：2021年2月27日（土）19：00～21：30
【プログラム】
グラエム・ウェレ（ブリストル大学、イギリス）
「デジタル時代の文化継承――パプアニューギニア ニューアイルランドにおけるカストムの伝習」
真鍋陸太郎（東京大学、日本）
「 参加型コミュニティアーカイブのデザイン――デジタル技術をとおしたコミュニティ情報の共有」
飯田卓（国立民族学博物館、日本）
「実社会における博物館資料の再生――アフリカと東アジアにおける画像共有プロジェクトの経験から」
■第4回 学術活動をとおした継承
日時：2021年3月7日（日）10：00～12：30
【プログラム】
ジョン・ケイ（インディアナ大学、アメリカ合衆国）
「 次世代育成能力、遺産実践、高齢者福祉――大学の民俗学プログラムはいかに年長者を支援したか」
松田陽（東京大学、日本）
「 日本の古墳の近現代史」
ダニエル・サウセド・セガミ（立命館大学、日本）
關雄二（国立民族学博物館、日本）
「過去と現在の架け橋――ペルーにおける社会的記憶構築の手段としての文化遺産」
■第5回 実践と記憶の継承
日時：2021年3月13日（土）18：00～20：30
【プログラム】
カティ リンドストロム
（KTH王立工科大学、スウェーデン）
「 世界遺産登録は地域の再生産や継承実践を阻害するか？――富士山と明治の産業革命遺産の登録事例から」
田中英資（福岡女学院大学、日本）
「われわれはリュキア出身のトルコ系牧畜民だ」――南トルコ、テケ半島の観光状況におけるローカル住民と「遺産」の道の関係の変容
河合洋尚（国立民族学博物館、日本）
「 遺産実践としての景観ポリティクス――福建土楼と客家囲龍屋の比較から」
■主催
国立民族学博物館
■申込方法
下記の申込フォーム（Googleフォーム）よりお申し込みください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSffDUhP17VmSQCAMgN7pq5qZShSlHsoCViGKN339LVZ1icHgg/viewform
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